全ては私に対する恥辱を削ぐ為の謙遜だったのだと。
しかし、それは自分にとって大きな邯鄲の歩みであり、私達が虐めを受ける原因。
途中、それに気付きながらもずっとそれに逃避し続けてきた掛葉が、漸く苦肉の策として想いを断ち切ったのだと。
つまり、掛葉は先天的にその知能を持っていた。
その超越した英知に混乱し、頭の使い方を大きく間違えていた天才。
よく馬鹿と天才は紙一重と言うのは正にこの事。
ならば私達は本当に双子の姉妹なのか?
私はあの時、掛葉が異常な形質で産まれてきた子なのではないかと考えていた。
確かに異常は異常。
だが実際は私の考えていた事とは逆の異常で、こんなのは遺伝子レベルでは決して考えられない話。
しかし科学的にそうと言うだけで現にその掛葉は今ここに存在する。
だから私が正常であり、掛葉が異常である事は確か。
でももし掛葉が姉となっていたらどうなっていたのだろうか?
掛葉は姉としての立ち位置を自覚し、優秀なできた姉としてちゃんと姉らしくなっていたのだろうか?
あの掛葉に限ってそんな事全く考えられないけど考えたくもない。
別に人並み外れた今の掛葉なんて全く興味ないし羨ましいとも思わない。
それなのに何故?
それでも妬ましく、血が滾る憤りを感じる。