下駄のカランコロンと言う音が好きだ。
ハルはあたしの格好を見て眉間にシワをよせた。
ハルは甚平を来てあたしの隣を歩いている。

こうやって歩いているとまるでーー
「古松と稻葉付き合ってたの!?」

そうそう、付き合ってるみたーーー
声の方を振り向く。

ハルが嫌そうな顔をしてあたしの腕を引っ張った。
「うるさいのいた、あっち行くよ。」
「え、あ...ちょ...」

でも、声の主はあたしたちを捕まえてしまった。

「逃げんなって!稻葉、久しぶりだな!」
二カッて言葉が正しい笑い方をする可愛い男子だ。
「古松、俺のこと覚えてる?」
目の前で手を振られた。
でも残念、分からない。
「松小の七宮だよ。」
ハルに言われて気づいた。
「ひーくん?」
「ピンポンピンポン大当たり~」
「わ、久しぶり!背伸びちゃって全然分からなかった~」
あたし達がキャッキャッはしゃいでるのを見てハルはグイッとあたしの腕を引っ張った。

「もういいでしょ。
それ以上ルナと話すなら金とるよ。」

「本当、稻葉は古松の事大好きだよなー。」

「別に。行くよルナ」
「え、ハル...ちょっ...」
「あ、まって古松!」
くしゃっとポケットに何かが入った感触。
「え、なにこ...」
ひーくんは口に指を当ててしーっのポーズをした。
ハルの機嫌が悪くなるものなのかもしれない。
家に帰ってからちゃんと見てみよう。
暗いからきっとここじゃ何が入ったのかもわからないだろうし。