子供の頃、夜が怖かった。
夜になるとオバケが出るから。
よくハルと一緒に寝てハルがずっとそばにいてくれて。
これはあたしが4歳の頃の話ーーー。
「ルナァ!!!ダメって言ったでしょう!?」
「ママ...ルナ何もしてな」
「いいからこっちに来な!」
夜の10時。
外は闇に染まっていた。
「何をしたのか分かるまで外で頭冷やしな!!」
「や、」
あたしの家は一軒家だけど4階まである。
この頃は親が一回でお店を開いていたから自宅は2階から上にあった。
それで、あたしが悪いことをすると親は4階のベランダにあたしを閉め出す。
上には星。
下には...
「やだぁぁぁ!!!!ママごめんなさい!!!!ああああああ!!!!」
純粋なあたしの目にはオバケが見えていた。
「ママぁぁぁ!!あああ!!!!」
ドアを何回も叩く。
それでも誰も開けてくれない。
怖くて震えた。
夏だったから寒くはなかった。
「っうぇ...グッ...ズズッ」
疲れてきて声も枯れて汗ダクダクになった。
「ハルゥ...ズズッ」
「ルナ...?」
なぜかハルの名前を呼ぶとハルの声が返って来た。
「ハル!!」
ハルの家は3階だてだった。
一つ下の階にハルがちょこんと頭を出してこっちを見ていた。
「ゴホッ...ルナ、また締め出されたの。」
「ハル、また病気?」
「大丈夫。」
ハルの風邪が心配になったあたしは無茶なことをした。
「ハル!!待ってて!今行くから!」
「は、ルナ何する気...」
そんなに高さはなかったから鉄パイプで3階まで降りてハルの部屋の窓から部屋に入った。
「ちょ、ルナ」
「ハル!」
ふわっとハルに抱きつく。
ハルはびっくりしてたけど少ししたらギュッて抱きついて来た。
だからあたしはハルを抱きしめた。
「ルナ、お母さんに怒られるよ。」
「怒られたから締め出されたんだもん」
「それはそうだけど」
「ハルが心配だから泊まる!」
「何を...」
「バレそうになったらベッドに隠れればいいよ!」
「...うーん。」
「今からじゃ帰れないし...」
と言いながらあたしは4階を指差した。
「確かにね」
それでハルも頷いてくれた。
それから時間が経って12時。
「お母さん探しに来ないね」
「そうだね」
「ルナの事忘れてるのかな?」
「寂しい?」
「寂しくないよ!ハルがいるから!」
「ん。」
ハルは照れながら笑ってた。
「ルナ、俺また入院するかもしれない。」
「え...」
「明日、病院に行くんだ。」
「また遊べなくなっちゃうの?」
「うん...」
「やだ...ハル行かないで!!」
「でも、お母さんが俺を部屋に閉じ込めるからどっち道、遊べなくなっちゃう。」
「やだぁ...」
「ルナ、泣かないで...」
あたしが泣き止まなくて困ったハルはあたしの顔をタオルでゴシゴシこすった。
「ルナ!抜け出そう!」
ばっ!と立ったハルはあたしに手を差し伸べた。
「ルナ、行こう!」
「どこに行くの?」
「街のお散歩!」
「行く!」
「ルナ、大丈夫?」
「大丈夫!」
ボソボソ話すのが探検ごっこみたいで楽しかった。
「ゴホッ...」
「ハル、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
夜が怖かったのに、ハルが一緒にいるだけで怖くなかった。
あたしの世界ではハルがいたら無敵だったんだと思う。
「寒い?ハル...」
「寒くないよ。ルナは?」
「ちょこっとだけ寒い...」
ハルは持ってきたリュックから毛布を出してあたしとハルの肩にかけた。
「あったかい?」
「あったかいよ!」
ふふふとあたしが笑うとハルは手を引いて川へ向かった。
「ハル!ハル!!魚!!魚!」
「騒がないで、ルナ」
二人で石に座って川に足をつけた。
冷たかった。
「足冷たいのに上はあったかいね~」
「そうだね」
「帰ろうか、ルナ」
「うん!」
ハルの家の前に着いた。
「どうやって部屋まで戻るの?」
「あ...」
二人で夜の街に締め出された。
あたしは一気に不安になって泣き出した。
「ふぇ...ズズッハル...うぇぇッ」
「泣かないでよルナ...」
「このままどうなっちゃうのぉ...?」
「俺がいるよ!大丈夫、ルナ!」
「うぇぇッズズッふぇッ」
「何があっても絶対ルナのこと守るから!!」
「本当...?ズズッ」
「約束!」
そのあとは確か二人で近くの公園に行って、遊具の中で寝むった。
ハルがあたしの事をぎゅーって抱きしめてくれて二人で安心して寝たんだと思う。
次の日は二人ともお母さんに怒られた。
ハルはそのまま病院へ。
あたしは部屋から出してもらえなかった。
「って覚えてる?ルナ」
「んー、昔家抜け出したのは覚えてるけど...」
「じゃあ、あれも覚えてないわけだ。」
「何の話??」
「知らないなら言わない」
ハルが久しぶりにニヤリと笑った。
「その笑いはなんだー!!」
「仲良しだな、二人は本当。」
「るい!ハルがいじめる!!」
「おうおう!ハル!ルナいじめんなよー!」
「いじめてないよ」
「べーっだ!!」
ハルだけが覚えてる『約束』の話。
夜になるとオバケが出るから。
よくハルと一緒に寝てハルがずっとそばにいてくれて。
これはあたしが4歳の頃の話ーーー。
「ルナァ!!!ダメって言ったでしょう!?」
「ママ...ルナ何もしてな」
「いいからこっちに来な!」
夜の10時。
外は闇に染まっていた。
「何をしたのか分かるまで外で頭冷やしな!!」
「や、」
あたしの家は一軒家だけど4階まである。
この頃は親が一回でお店を開いていたから自宅は2階から上にあった。
それで、あたしが悪いことをすると親は4階のベランダにあたしを閉め出す。
上には星。
下には...
「やだぁぁぁ!!!!ママごめんなさい!!!!ああああああ!!!!」
純粋なあたしの目にはオバケが見えていた。
「ママぁぁぁ!!あああ!!!!」
ドアを何回も叩く。
それでも誰も開けてくれない。
怖くて震えた。
夏だったから寒くはなかった。
「っうぇ...グッ...ズズッ」
疲れてきて声も枯れて汗ダクダクになった。
「ハルゥ...ズズッ」
「ルナ...?」
なぜかハルの名前を呼ぶとハルの声が返って来た。
「ハル!!」
ハルの家は3階だてだった。
一つ下の階にハルがちょこんと頭を出してこっちを見ていた。
「ゴホッ...ルナ、また締め出されたの。」
「ハル、また病気?」
「大丈夫。」
ハルの風邪が心配になったあたしは無茶なことをした。
「ハル!!待ってて!今行くから!」
「は、ルナ何する気...」
そんなに高さはなかったから鉄パイプで3階まで降りてハルの部屋の窓から部屋に入った。
「ちょ、ルナ」
「ハル!」
ふわっとハルに抱きつく。
ハルはびっくりしてたけど少ししたらギュッて抱きついて来た。
だからあたしはハルを抱きしめた。
「ルナ、お母さんに怒られるよ。」
「怒られたから締め出されたんだもん」
「それはそうだけど」
「ハルが心配だから泊まる!」
「何を...」
「バレそうになったらベッドに隠れればいいよ!」
「...うーん。」
「今からじゃ帰れないし...」
と言いながらあたしは4階を指差した。
「確かにね」
それでハルも頷いてくれた。
それから時間が経って12時。
「お母さん探しに来ないね」
「そうだね」
「ルナの事忘れてるのかな?」
「寂しい?」
「寂しくないよ!ハルがいるから!」
「ん。」
ハルは照れながら笑ってた。
「ルナ、俺また入院するかもしれない。」
「え...」
「明日、病院に行くんだ。」
「また遊べなくなっちゃうの?」
「うん...」
「やだ...ハル行かないで!!」
「でも、お母さんが俺を部屋に閉じ込めるからどっち道、遊べなくなっちゃう。」
「やだぁ...」
「ルナ、泣かないで...」
あたしが泣き止まなくて困ったハルはあたしの顔をタオルでゴシゴシこすった。
「ルナ!抜け出そう!」
ばっ!と立ったハルはあたしに手を差し伸べた。
「ルナ、行こう!」
「どこに行くの?」
「街のお散歩!」
「行く!」
「ルナ、大丈夫?」
「大丈夫!」
ボソボソ話すのが探検ごっこみたいで楽しかった。
「ゴホッ...」
「ハル、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
夜が怖かったのに、ハルが一緒にいるだけで怖くなかった。
あたしの世界ではハルがいたら無敵だったんだと思う。
「寒い?ハル...」
「寒くないよ。ルナは?」
「ちょこっとだけ寒い...」
ハルは持ってきたリュックから毛布を出してあたしとハルの肩にかけた。
「あったかい?」
「あったかいよ!」
ふふふとあたしが笑うとハルは手を引いて川へ向かった。
「ハル!ハル!!魚!!魚!」
「騒がないで、ルナ」
二人で石に座って川に足をつけた。
冷たかった。
「足冷たいのに上はあったかいね~」
「そうだね」
「帰ろうか、ルナ」
「うん!」
ハルの家の前に着いた。
「どうやって部屋まで戻るの?」
「あ...」
二人で夜の街に締め出された。
あたしは一気に不安になって泣き出した。
「ふぇ...ズズッハル...うぇぇッ」
「泣かないでよルナ...」
「このままどうなっちゃうのぉ...?」
「俺がいるよ!大丈夫、ルナ!」
「うぇぇッズズッふぇッ」
「何があっても絶対ルナのこと守るから!!」
「本当...?ズズッ」
「約束!」
そのあとは確か二人で近くの公園に行って、遊具の中で寝むった。
ハルがあたしの事をぎゅーって抱きしめてくれて二人で安心して寝たんだと思う。
次の日は二人ともお母さんに怒られた。
ハルはそのまま病院へ。
あたしは部屋から出してもらえなかった。
「って覚えてる?ルナ」
「んー、昔家抜け出したのは覚えてるけど...」
「じゃあ、あれも覚えてないわけだ。」
「何の話??」
「知らないなら言わない」
ハルが久しぶりにニヤリと笑った。
「その笑いはなんだー!!」
「仲良しだな、二人は本当。」
「るい!ハルがいじめる!!」
「おうおう!ハル!ルナいじめんなよー!」
「いじめてないよ」
「べーっだ!!」
ハルだけが覚えてる『約束』の話。