ホームルームが終わってハルがあたしの席に来る。

「る、ルナ...帰ろ」

「...」

2人の時間だけが止まったみたいに固まった。

「ハルー!!」

女の子がハルの腕に絡みつく。
耐えられない。
逃げ出してしまいたい...

「あ、瑠奈ちゃん!今日はハルと帰らないの??
じゃあ私が帰ってもいいよね?
1人じゃ寂しいしさ~!ね?ハル~」

「井上、うるさい」

「えー私じゃま?
ハルー帰ろーよー!!」

「あ、あたし...」

「ルナ」

るいがあたしの腕を引っ張った。
「るい...」

「泣きそうになんなよ、ほら涙拭きな。
...稻葉君。
今日はルナ、俺と帰るから。じゃ。」

るいが手を引っ張ってくれた。
廊下に出るとるいが止まった。

「よしよし。泣くなって!な?
...頑張ったな。」

「るいぃ...!!!!」

るいが頭を撫でようとあたしの頭の上に手をかざした。
「ルナァ!!!!!!」

ハルがあたしの名前を呼んだ。
今までに聞いたことのないような大きな声だ。

「ハ...」

ガバッとハルがあたしを壁に追いやる。
思いっきり頭をぶつけた。

「いっ...」

「ごめん、ルナごめん...
俺以外の男と一緒にいないで...
嫉妬しすぎてどうにかなりそう...
俺ばっかり縛ってごめん...
ルナごめん」

ハルが...あのハルが謝ってる。
「何で皆誤解するのかね。
俺は女の子なんだけど!?」

ハルがるいを見て目を見開く。
「え、お前...え!?」

あたしはクスッと笑うと頭がズキンと痛んだ。

「え...ほんとに?」

「本当本当~酷いねー、君たちは」

「ルナ、なんで先に女だって説明...ルナ?」

「うぅ...」

廊下に倒れたあたしをきっとハルが保健室まで運んでくれた。