「ハル!いつまで寝てるの??
起きないと置いてくよっっっ!!!」
朝、目が覚めると好きなやつ。
きっと誰もが羨む光景だ。
稻葉春義は15年間大好きなやつといつも一緒にいれる特権を持っている。
幼馴染と言う特権だ。
「ルナ...うるさいよ朝から。」
「叔母さんからは了解を得てますので!
はいはい!支度して!」
「気力ない...ルナ着替えさせてよ」
「バカなこと言ってないで早く着替えて!」
ルナ...古松瑠奈には何言っても聞かない。
自分で言うのもなんだけど、俺って一途で分かりやすい方だと思う。
それでもルナが気づかないのはルナが天然ボケでバカだからだ。
ルナは優しくされたら着いて行ってしまうような危なっかしいやつで俺がいないとダメなんだ...嘘。
ルナがいないとダメなのは俺だ。
ルナが変な親父に連れて行かれそうになったとき必死だった。
俺のルナだ!触るな!
俺だけだぞ!
ルナに触っていいのは...ルナに嫌がらせしていいのは幼馴染の俺だけなんだ!!!
なんとか助け出してルナが震えているのを見て必死に抱きしめた。
いつも笑ってたルナが少しの間怖いと言って部屋に閉じこもったことがあった。
学校に俺が行けてないときはあった。
体が弱くて、悔しいけど病気に負けてしまうときがしばしばあった。
でもルナがいないことなんて今までなかったんだ。
だから心配は日に日に増していって怒りへ変わった。
なんであいつは来ないんだ!
帰りに家に寄った。
ルナの叔母さんは優しく笑ってどーぞと招き入れてくれた。
入り慣れたこの家。
どこになんの部屋があるかなんてもう知ってる。
ルナの部屋は一階の突き当たりを左に曲がって右の部屋だ。
「おい!ルナ!お前学校来いよ!」
返事はなかった。
叔母さんが俺にお茶を持ってきてくれたけど部屋に入れてないのを見て悲しい顔になった。
「あの子、ご飯も全然食べてくれないし大好きだったチョコケーキすらも口をつけないのよ。
春義君ならどうにか出来ないかなって...」
俺は怒りが焦りに変わるのを感じた。
「ルナ、入るよ」
ガチャッとドアが鳴る。
「ハ...ル...」
ニッコリと笑うルナの顔。
でも頬は痩せこけて髪の毛はボサボサで。
誰かに助けを求めようとしたけど届かない、そんな感じだ。
「ハル...ゥ」
涙が頬を伝う。
ルナの涙は嫌いだ。
うざったい。
そして何より...
ルナの腕を引っ張る。
抱き寄せる。
頭を撫でる。
ルナが細い腕でしがみついてくる。
好きなやつが泣いてるのを放っておけない。
「春義君...ありがとうね」
叔母さんは喜んで涙を流しながら部屋を出た。
俺はルナの髪をとかす。
「風呂とかは入ってたの?」
「夜中にこっそり。」
「ご飯は?」
「食欲なくて...」
「ケーキも?」
「...ん。」
ルナの髪はサラサラしてた。
さっき叔母さんが持ってきてくれたケーキをルナの口に突っ込む。
「食べろ。」
ルナは目を丸くして頷いた。
それからルナの家に通いつめてルナは少しづつ学校に来るようになった。
あとはあれだ。
七宮を好きになったときの不安。
ルナの事が大好きだった俺からすれば辛かったけどルナの初めて好きになったやつなんだから応援しようと思った。
俺が入院してる間に七宮がルナの話し相手になっていてくれた。
いい奴なんだって思った。
だからこそ。
ルナが好きなら応援しないとしないと、と俺自身諦めモードに入っていた。
でも、ある日
見てしまったんだ。
七宮とクラスの女子が一緒に帰っている所を。
手を繋いで仲良く話している所を。
話が理解出来なくてクラスの女子に聞いていた。
「あいつらってさ」
「あ!春義君!初めて話しかけてくれたね~!!」
女子が俺の机の周りを囲む。
騒がしいのはあんまり好きじゃない。
「で、なんの話だっけ?」
「あ、えっとさ...七宮と」
「杏里ちゃん?付き合ってるよ~!」
「へえー。そうなんだ。」
「いきなりどうしたの?春義君ってそう言うの興味なさそうなのに」
「この前手繋いで歩いてる所見たから、少し気になっただけだよ。
ありがとう。」
「いえいえ~」
「あ!ひかる!あたし以外の子と手繋ぐなんてありえないっ!」
「ごめんごめん」
ルナが俺の目の前にいる。
涙をたくさん溜めた赤い目でぼぉっと俺を見てる。
やっぱり俺しかルナの事は分かれない。
誰かを理解しようなんで俺には早いと思うし一生理解なんて出来ないと思ってる。
でも理解しようとすることは悪いことじゃない。
俺はルナを理解したい。
ルナの考え全ては無理でも今の心境くらいは分かってやりたい。
それで少しでもルナが辛くないようにしてやりたい。
そう思ったんだ。
「ハル!」
「何、うるさいってば。
怒鳴らなくてもこの距離なら聞こえるよ。」
「大好きよ」
「......何それ...」
「さあ!早く準備して...」
「朝から男の部屋でそんなこと言うなんて無防備過ぎ。
お仕置きです」
そして今日も俺は強引にルナを理解する。
起きないと置いてくよっっっ!!!」
朝、目が覚めると好きなやつ。
きっと誰もが羨む光景だ。
稻葉春義は15年間大好きなやつといつも一緒にいれる特権を持っている。
幼馴染と言う特権だ。
「ルナ...うるさいよ朝から。」
「叔母さんからは了解を得てますので!
はいはい!支度して!」
「気力ない...ルナ着替えさせてよ」
「バカなこと言ってないで早く着替えて!」
ルナ...古松瑠奈には何言っても聞かない。
自分で言うのもなんだけど、俺って一途で分かりやすい方だと思う。
それでもルナが気づかないのはルナが天然ボケでバカだからだ。
ルナは優しくされたら着いて行ってしまうような危なっかしいやつで俺がいないとダメなんだ...嘘。
ルナがいないとダメなのは俺だ。
ルナが変な親父に連れて行かれそうになったとき必死だった。
俺のルナだ!触るな!
俺だけだぞ!
ルナに触っていいのは...ルナに嫌がらせしていいのは幼馴染の俺だけなんだ!!!
なんとか助け出してルナが震えているのを見て必死に抱きしめた。
いつも笑ってたルナが少しの間怖いと言って部屋に閉じこもったことがあった。
学校に俺が行けてないときはあった。
体が弱くて、悔しいけど病気に負けてしまうときがしばしばあった。
でもルナがいないことなんて今までなかったんだ。
だから心配は日に日に増していって怒りへ変わった。
なんであいつは来ないんだ!
帰りに家に寄った。
ルナの叔母さんは優しく笑ってどーぞと招き入れてくれた。
入り慣れたこの家。
どこになんの部屋があるかなんてもう知ってる。
ルナの部屋は一階の突き当たりを左に曲がって右の部屋だ。
「おい!ルナ!お前学校来いよ!」
返事はなかった。
叔母さんが俺にお茶を持ってきてくれたけど部屋に入れてないのを見て悲しい顔になった。
「あの子、ご飯も全然食べてくれないし大好きだったチョコケーキすらも口をつけないのよ。
春義君ならどうにか出来ないかなって...」
俺は怒りが焦りに変わるのを感じた。
「ルナ、入るよ」
ガチャッとドアが鳴る。
「ハ...ル...」
ニッコリと笑うルナの顔。
でも頬は痩せこけて髪の毛はボサボサで。
誰かに助けを求めようとしたけど届かない、そんな感じだ。
「ハル...ゥ」
涙が頬を伝う。
ルナの涙は嫌いだ。
うざったい。
そして何より...
ルナの腕を引っ張る。
抱き寄せる。
頭を撫でる。
ルナが細い腕でしがみついてくる。
好きなやつが泣いてるのを放っておけない。
「春義君...ありがとうね」
叔母さんは喜んで涙を流しながら部屋を出た。
俺はルナの髪をとかす。
「風呂とかは入ってたの?」
「夜中にこっそり。」
「ご飯は?」
「食欲なくて...」
「ケーキも?」
「...ん。」
ルナの髪はサラサラしてた。
さっき叔母さんが持ってきてくれたケーキをルナの口に突っ込む。
「食べろ。」
ルナは目を丸くして頷いた。
それからルナの家に通いつめてルナは少しづつ学校に来るようになった。
あとはあれだ。
七宮を好きになったときの不安。
ルナの事が大好きだった俺からすれば辛かったけどルナの初めて好きになったやつなんだから応援しようと思った。
俺が入院してる間に七宮がルナの話し相手になっていてくれた。
いい奴なんだって思った。
だからこそ。
ルナが好きなら応援しないとしないと、と俺自身諦めモードに入っていた。
でも、ある日
見てしまったんだ。
七宮とクラスの女子が一緒に帰っている所を。
手を繋いで仲良く話している所を。
話が理解出来なくてクラスの女子に聞いていた。
「あいつらってさ」
「あ!春義君!初めて話しかけてくれたね~!!」
女子が俺の机の周りを囲む。
騒がしいのはあんまり好きじゃない。
「で、なんの話だっけ?」
「あ、えっとさ...七宮と」
「杏里ちゃん?付き合ってるよ~!」
「へえー。そうなんだ。」
「いきなりどうしたの?春義君ってそう言うの興味なさそうなのに」
「この前手繋いで歩いてる所見たから、少し気になっただけだよ。
ありがとう。」
「いえいえ~」
「あ!ひかる!あたし以外の子と手繋ぐなんてありえないっ!」
「ごめんごめん」
ルナが俺の目の前にいる。
涙をたくさん溜めた赤い目でぼぉっと俺を見てる。
やっぱり俺しかルナの事は分かれない。
誰かを理解しようなんで俺には早いと思うし一生理解なんて出来ないと思ってる。
でも理解しようとすることは悪いことじゃない。
俺はルナを理解したい。
ルナの考え全ては無理でも今の心境くらいは分かってやりたい。
それで少しでもルナが辛くないようにしてやりたい。
そう思ったんだ。
「ハル!」
「何、うるさいってば。
怒鳴らなくてもこの距離なら聞こえるよ。」
「大好きよ」
「......何それ...」
「さあ!早く準備して...」
「朝から男の部屋でそんなこと言うなんて無防備過ぎ。
お仕置きです」
そして今日も俺は強引にルナを理解する。