『待とうと思ってた。
佐伯さん失恋したばっかりだったし、
佐伯さんがアイツをすごく好きだってことも
わかってるつもりだったし。
傍にいて、
誰よりも傍にいて、
ずっとずっと傍にいて、
いつか俺を想ってくれればいいって
いつか俺のものにしようって
それまで待とうって。
どんだけ月日が流れても
俺の佐伯さんへの気持ちは
きっと変わらない。
少しの迷いもなく
変わらない。
だから待とうって
そう思ってたんだけど、
自分ではわかんないだろうね。
佐伯さん
すげー可愛いんだよ。
全部可愛いんだよ。
見た目だけじゃなくて、
仕草も
声も
選ぶ言葉も
向ける視線も、
全部可愛いんだよ。
どうしようもなく
可愛いんだよ。
そう再確認するたびに
焦るんだ。
俺のこと選んでくれる保証なんてない。
四六時中傍に居られるわけじゃない。
この可愛いさを他の誰かが知ったら
絶対佐伯さんを拐っていく。
俺じゃない他の誰かの傍で
佐伯さんは笑うのか。
俺が欲しくて仕方のない言葉を
そいつが貰うのか。
佐伯さんに触れて、
触れられて、
俺じゃないそいつが
まだ居もしない想像の中のそいつが
すげームカつくんだ。
最悪の事態を考えれば考えるほど、
佐伯さんを愛しく想えば想うほど、
焦って、
焦って、
だから
もう限界。
来て』