真っ直ぐ
見下ろされる茶色い瞳。
いつも綺麗だなって
見惚れちゃう瞳が
いつも以上に
きらきら輝いていて
『先輩?』
涙ぐんでいるのかと思った。
やっぱり、どこか、変だ。
『佐伯さん、』
『はい、』
『離したくない』
『へ、手、ですか?
でも先輩だけが冷たい思いするの
私は嫌ですよ。
それに、呪われちゃうし
先輩のファンに』
私はクスッと笑うけど
先輩の瞳は変わらず真っ直ぐで、
『わかりました。
これならいいですよ』
先輩の掌と
私の掌を合わせる。
キュッと先輩の手を握ると
なんだか私、小さな子供みたい。
幼子と手を繋ぐように
形を変えた。
『先輩、
傘で顔隠してくださいよ。
私も
先輩の影に隠れるようにしますから』
高校の最寄り駅。
同じ制服を着た子達が
ちらほらいるわけで、
同じ制服じゃなくても
先輩は近隣高校でも
有名なわけで。
学校だけじゃなく
他校のファンからも目の敵にされたら
私、
本当に死んじゃうもん。