スカートのポケットから
水玉のハンカチを出す。
自分で拭こうとすると
私の手を先輩の手が包んだ。
『俺は
出してごらんって言ったんだよ』
『え、いや、大丈夫です。
自分でできますから』
『ダメ』
『で、でもなんだか恥ずかしいし』
『うん。
恥ずかしがって』
は、恥ずかしがって?
『で、でも先輩も濡れちゃいますから』
『ん、じゃ佐伯さん拭いて』
『む、無理です。
皆の王子様に触れたら
私、今度こそ呪い殺されます』
『呪い殺される?
なに、それ。
ま、大丈夫だよ。
佐伯さん死んだら
俺も死んであげるから』