『そうですよね。
彼のことはあれ以来
話題にしませんでしたし・・・でも、
私まだ悩んでるように見えますか?
そんなに哀愁漂ってますか?
もう、大丈夫なんですよ。
先輩のおかげで
吹っ切れてます』
本心だ。
彼のことで心は痛まない。
『だから、平気なんです。
変な同情しないで下さい』
可哀想だから
好きだなんて
失礼です。
そんな意味を込めて
私は言い切った。
キッと瞳に力を込めて
先輩の瞳を見詰める。
先輩も私を睨むように見ていて
なんで、
どうして、
って悲しくなっていく。
いつだって
優しくて
穏やかな瞳を向けてくれていたのに。
私の気持ちを理解してくれていると
思っていたのに。
私だって先輩のこと
わかってるつもりでいたのに。
なんで?
どうして?
私は可哀想?
同情で付き合うような
そんなそんな人だった?
私はまた
間違っていたの?
先輩とは
ずっと居られると思ったのに。
これからの未来も
必ずどこかで繋がっていられると
思っていたのに。
『私、また見抜けなかったんですね。
憐れまれて傍にいるような関係
私は嫌です。
手、離して下さい』