『なに、それ』

先輩は振り向いた。


すごく冷たい声を放ちながら。


『憐れむ?俺が?』

『そうです。

それしか思い当たらない』




それしかない。






私には好きな人がいた。


私の長い片想い。

それは

高野先輩と知り合ったころに

突然実った。


急展開に有頂天でいた私は

幸せの中に浸りすぎて、

真実を見抜く目を失っていた。


たったの3ヶ月。


全てを捧げた彼は

一緒にいてもつまらないと

私には面白味がないと

彼はそう言って

別れを求めてきた。





あぁ、
好きだったのは私だけだったんだ。

嬉しくて

恥ずかしくて

ドキドキして

胸一杯で



そういう大切な気持ちは

私だけだったんだ。



1つ気付けば

幸せだった記憶は

崩れるように

姿を変えていく。



泣いて

泣いて

泣いて


泣いて



そんな私を支えてくれたのは


他でもない


高野先輩だった。