鈍い音が響いた。

でも、なぜか痛くない。
うっすらと目を開けた。

「日向...!」

勢いよく顔を開けるとそこには、両手を広げたまま、痛そうに顔を歪めている葵の顔があった。
あまりの事態の大変さに、緩んだ両脇のやつらの腕を振り払う。
葵の体が膝をついた。
俺「葵!!」

体を支え、ゆっくりと、自分に体重がかけられるような体勢に持っていく。

俺「葵!しっかりしろ!」

葵「...ん」
うっすらと目を開き、苦笑いをしている。
葵「優磨...」

俺「何してんだよ!!なんでこんなこと...!」
葵「だって...私が守るって...約束したから...」

俺「あ...」
思い出した。葵は、俺のことを...

俺「でも...ここまでしなくても...」

葵「頑張ってたね...優磨...もう私がいなくたって...十分やっていけるよ...」

俺「なんだよ、もう死ぬみたいな言い方すんなよ!」

葵「あたし、ちゃんと見てたよ...かっこよかったよ...」

俺「葵!葵!死んじゃダメだ!まだ死んじゃ...!」
葵「優磨...」
葵が、俺の頰に手を添えようと伸ばしてくる。
俺はその手を取った。

俺「葵!ダメだ!死んじゃ!」
葵「優磨...あたしね...」

葵「あたし...」