「このシチュエーションって、何かやらしい感じがする」

上野さんが話しかけてきた。

無視、無視、無視…。

あたしは呪文のように自分に言い聞かせた。

皿洗いに集中、集中、集中…。

「安部くんはいないから、俺とノゾミちゃんの2人きりでしょ?

で、皿洗いをしているノゾミちゃんを俺が後ろから抱きしめてて…」

「んっ…」

キュッと、蛇口をひねって水を止めた。

やっと皿洗いが終わった。

「あれ?

もう終わったんだ」

「あっ…」

待っていたと言うように、上野さんの手があたしの胸をさわってきた。