「――何だよ、うっせーな…」

今度は脚の方から声がした。

安部さんは不機嫌そうに上半身を起こした。

「ノゾミちゃんがデケー声出すんだもん…」

弱々しい声で上野さんが安部さんに反論する。

「10本近く缶を開けたお前の方がずっと悪い。

ああ、おはよう」

反論した後、安部さんはあたしにあいさつをした。

「おはようございます」

あたしはあいさつを返した。

「つーか、今何時だ?」

安部さんはそう言って躰を起こすと、テレビの方へ向かった。

…あ、今気づいたけど時計がない。