初めて見たうわばみに、あたしは震えそうになった。

上野さんは空っぽになったグラスを指先でなでた。

ピアニストのような華奢なその指に、視線が行ってしまった。

「それにしても…」

上野さんが呟くように言ったのと同時に、あたしの躰が傾いた。

えっ、何?

あたしは横になっていた。

何?

一体何が起こったの?

肩に添えられていた上野さんの手に、あたしは彼に押し倒されたことに気づいた。

ほろ酔い状態の上野さんの顔が、あたしの目の前にあった。