窃盗犯は伊地知さんが彼の住んでいる町へと送って行くそうだ。

「皆さん、お疲れ様でした」

そう言って頭を下げた伊地知さんに、
「おう、ちゃんと送って行けよ」

上野さんが言った。

空を見あげると、西の空にかすかなオレンジ色が残っているだけだった。

「あー、すっかり日が短くなったな」

後は真っ黒に染まっている空を見ながら、安部さんが言った。

「うー、寒い!」

上野さんがそう言って、
「きゃっ!」

あたしに抱きついてきた。

「上野、抜け駆けは禁止だ!」

「そう言う安部くんだって抱きしめてるじゃんか」

2人に抱きつかれたあたしの足取りはおぼつかないものだった。

まあ、この状況になれたからいいけど…。


☆★END☆★