「そのせいで母親との関係がうまく行かなくなって、家出をしました。

それで当てもなくさ迷っていたところをこの町について、それで…」

「それで空腹のあまり、食べ物を盗んだと言う訳か」

そう言った上野さんに、
「はい、そうです。

すみませんでした」

窃盗犯は頭を下げて謝った。

あたしたちは顔を見あわせた。

そんなあたしたちの足元で、カサノバはのん気な顔で昼寝をしていた。

先ほどさくらさんが作ったねこまんまをお腹いっぱいに食べたから機嫌がよくなったのだろう。