「フーッ!」

カサノバは躰中の毛を逆立てて、窃盗犯に向かって威嚇している。

「ずみまぜんでじだ…」

窃盗犯は呟くように謝った後、オイオイと泣き出した。

泣き出した窃盗犯に、あたしたちは顔を見あわせた。

「何か理由があるんじゃないかしら?」

首を傾げたさくらさんに、
「話だけでも聞きましょうか」

そう言ったおばあさんに同意するように、あたしたちは首を縦に振ってうなずいた。

開店準備中のバー『さくら』に入ると、
「すみませんでした!」

窃盗犯はあたしたちに向かって頭を下げた。