「って、うわっ!?

安部くん、何を背負ってるの!?」

驚いたように声をあげた上野さんに、あたしは何があったんだろうと安部さんの方に視線を向けた。

「えっ、おばあさん!?」

あたしは驚いた。

何故なら、安部さんは『富山薬局』のおばあさんをおんぶしていたからだ。

「いやー、途中で屍(シカバネ)を拾っちまって…」

そう言った安部さんに、
「誰が屍だ!」

「イデッ!」

彼の頭におばあさんのこぶしが飛んだ。

走っていると言う状況のうえにおばあさんをおんぶしている、おまけにしゃべっている安部さんはすごいと思った。

「おばあちゃんはまだ生きているわよ!」

そう言ったのは、
「おいおい、美森まで参加かよ…」

『富山薬局』の薬剤師の美森さんだった。