「あいつです!

あいつが例の窃盗犯です!

カサノバの飯を盗もうとしました!」

安部さんが前を走っている窃盗犯を指差しながら、伊地知さんに言った。

「か、カサノバ…?

外国人も雇っているんですか?」

訳がわからないと言う顔をして聞き返した伊地知さんに、
「猫の名前です。

今、私たちと一緒に走っている白猫の名前です」

さくらさんが答えた。

「って、何でさくらさんもいるんだよ!?」

突然の参加者に驚いたと言う顔で聞いてきた上野さんに、
「おまわりさんと一緒にいたからよ」

さくらさんが答えた。

「ああ、猫ですか」

伊地知さんが納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。