「待てー!」

「ニャーッ!」

食べ物の恨みって怖いね。

普段はのんびりと歩いているカサノバが、その巨体を揺らして走っている。

「って言うか、走り方がぎこちないにも程があるだろ」

「ああ、内股で走ってるもんな」

走っているにも関わらず、こんなのん気なやりとりができる上野さんと安部さんはすごいと思う。

あたしは…と言うと、すでにバデ気味であった。

最後に走ったのは高校の体育の授業だったことを思い出した。

「どうかしましたか?」

その声に視線を向けると、伊地知さんがあたしたちと一緒に走っていた。