「あっ、お水も入ってないや」

底が深い空っぽになっている皿を持つと、水を入れにお風呂場の方へと足を向かわせた。

「よーし、これくらいでいいかな」

水が入った皿を持って行こうとした時、
「フニャー!」

その叫び声に、皿を落としそうになった。

「えっ、何?」

確か、裏口の方から聞こえたような…?

そう思いながら裏口の方へと向かうと、白い大きな巨体があった。

カサノバだ。

「カサノバ、どうし…」

カサノバの目の前にいるそれに、あたしは声を失った。

「フーッ!」

カサノバは怒っていると言うように声をあげ、躰中の毛を立たせていた。