「えっ…あっ、はい。

そうですか…」

何だ、ただのあいさつか。

そう言えば、この辺りでは見ない顔だなと思った。

「雨宮希望です。

ここで住み込みで働いています」

あたしも自己紹介をした後、伊地知さんに頭を下げた。

「雨宮さんですね。

これからよろしくお願いします」

「はい、こちらこそ」

頭を下げあっているあたしたちに、
「ノゾミちゃーん、何やってるのー?」

ドアが開いて、上野さんと安部さんが出てきた。

「従業員の方ですか?」

2人の姿を見た伊地知さんが声をかけた。

「そうですけど、あなたは?」

初めて見る顔に、安部さんは不思議そうに首を傾げた。