「作れます。

料理は祖母仕込みなので」

若い頃は料理人として働いていた祖母から仕込まれた料理が、まさかこんなところで役に立つとは思わなかった。

子供の頃に祖母のお手伝いを仕方なく手伝った結果が、今まさに役立とうとしている。

おばあちゃん、ありがとう。

あたしは祖母に心の底から深く感謝した。

「じゃあ、料理はノゾミちゃんに任せるか」

そう言った安部さんに、
「マズかったら食わねーけど」

プシュッと、上野さんはチューハイのふたを開けると、グラスに注いだ。

「はい」

3本のうちの1本があたしに差し出された。