撫子の花か…。

あたしは黒地に撫子の柄の浴衣を見つめた。

全部キレイと言えばキレイだけど…あたしは、この5枚目の浴衣が好きかな。

「じゃあ、これにします」

あたしは5枚目の浴衣を指差すとさくらさんに言った。

「わかったわ」

さくらさんは返事をした後、
「えーっと、これに似合う帯は…」

また引き出しをゴソゴソと何かを探し始めた。

「あった、あった」

さくらさんが引き出しから取り出したのは、黄色の帯だった。

「後、浴衣に似合う髪飾りも出さなくっちゃ」

「えっ、あの…」

ウキウキしているさくらさんに、あたしは声をかけた。