えっ、浴衣を着るんですか?

確かに、夏祭りと言えば浴衣ですけども…。

でも、
「さくらさんに頼んじゃっても、大丈夫なんですか?」

そう言ったあたしに、
「ノゾミちゃん、こう言う時こそ横町のみんなに頼らなくっちゃ」

安部さんが笑いながら言った。

「そうだよ。

俺、ノゾミちゃんの浴衣姿すっげー楽しみにしてるんだから!」

…上野さんはどちらかと言うと、それが目的なんですね。

「浴衣姿も似合うと思うよ。

ノゾミちゃんは黒髪の大和撫子なんだから、きっと映えるって!」

…安部さんもそれが目的なんですね。

ワイワイとあたしに着せる浴衣の話をしている2人に気後れを感じながらも、あたしは夏祭りに行く心の準備をしていた。