「はい、何でしょうか?」

あたしは返事をした。

「ノゾミちゃんは、誰か好きな人っている?」

浅井さんが聞いた。

「えっ、好きな人ですか?」

あたしは訳がわからなくて首を傾げた。

と言うか、何で男の浅井さんがそんなことを聞いてきたんだ?

まあ、“忍”と言う名前自体が中性的だからなあ…って、ツッコミを入れるところが違う。

「誰かいないの?」

浅井さんは聞いてくる。

…これって、俗に言う“恋バナ”ってヤツですよね?

まさか、男の人と恋の話をすることになるとは思ってなかったです…。

あたしのイメージでは、女の子が集まってきゃっきゃっ…って。

あー、でも…今の女の子たちって、恋の話をするのかしら?