そう思ったあたしに、
「えーっと、雨傘さんだっけ?」

「はっ?」

浅井さんの言葉に、あたしは訳がわからなかった。

あ、雨傘さん?

「あっ、雨ガエルさん?」

…安部さんが聞いたら悲鳴をあげそうだ。

浅井さんは思い出したと言うようにポンと手をたたくと、
「雨宮さんか!」
と、あたしを指差した。

「…どんな間違え方をしているんですか?」

久しぶりに名字で呼ばれたよ…と言う以前に、人を指差さないで欲しいと言う話である。

「と言うか、ノゾミでいいです。

皆さん、“ノゾミちゃん”って呼んでいるので」

そう言ったあたしに、
「じゃあ、ノゾミちゃん」

浅井さんが早速と言うようにあたしの名前を呼んだ。