そもそも、
「どうしてカエルが苦手なんですか?」

実物は別にいいとして、ぬいぐるみもシールも苦手と言う意味がよくわからない。

安部さんはテーブルのうえにマグカップを置いた後、
「その…小学生の、3年か4年くらいだったかな?」
と、話を始めた。

「道路のうえで潰れたカエルを見たんだ。

ぺしゃんこに潰れているんだったらまだしも、内臓が飛び出したまんまの状態で潰れてた。

それ以来、カエルが苦手になった。

実物はもちろん、写真もぬいぐるみもキャラクターもダメになった」

安部さんは話し終えた後、マグカップに手を伸ばした。

それを口に含んで、
「あーっ、落ち着いた…」

息を大きく吐いた。