あたしが夜眠れない時、祖母はハチミツ入りのホットミルクを作ってくれた。

それをマネして作ったんだけど、
「俺がハチミツ派なの、よくわかったな」

安部さんは嬉しそうに笑った後、また口に含んだ。

「あっ、そうだったんですか…」

苦手だと思ったから、その答えにビックリした。

「…何か、かっこ悪いとこ見せちまったな」

安部さんはやれやれと言うように息を吐いた。

「あたしも苦手なものがいっぱいありますからお互い様です」

あたしは返した。

「ノゾミちゃんは何が苦手なの?」

「…ゴキブリ」

「意外とフツーだな」

…何を期待していたんですか、一体。