グッタリしている安部さんの横で、上野さんはすーっと寝息を立てて眠っていた。

「安部さん、大丈夫ですか?」

あたしはマグカップを安部さんに差し出した。

「ああ、ありがとう…」

安部さんは呟くようにお礼を言った後、あたしの手からマグカップを受け取った。

「ホットミルクか」

安部さんは一言呟いた後、口に含んだ。

口に含んだとたん、
「これ、ハチミツ入りか?」

安部さんが驚いたと言うようにあたしを見た。

「…苦手、でしたか?」

あたしは呟くような声で聞き返した。