分かってるんだけどね。
好きなもんは好きだし。小さい頃から家が近所のせいで勝手に親近感が沸いてたりするからでもある。
全君が卒業間近になってから、あたしは喋り掛けるようになったし。勝手にあたしは全“君”とか言って最初全力で変な女扱いされたし。全君にとっちゃあたしは薄っぺらい存在なの分かってるんだけどね。
ただの付きまとってくるウザい後輩。ってとこか。
今は全君が良く来るバーに飲みに来て、全君と会えばテキーラを喉に流し込んで絡みに行くことしか出来ない。
いっつも「またあんたか」って顔されるんだけどね。
そうです、あたしは雪です。また雪なんです。
全君に存在を知って欲しくて普段は飲まないテキーラを一気に流し込んでベロンベロンになりながらウザ絡みしてるんです。
そう口にしてしまいそう。