伏し目がちに友達の話に耳を傾ける全君の仕草。笑うとくしゃってなる顔。グラスを持ち上げて一気に酒を流し込む姿。どれもあたしを好きにさせる要素にしかならない。
「この間のドライブインの姉ちゃん可愛かったな〜。またあっちに集合掛けるか」
「やっぱり全の好みだったなあの子。ちょっと大人しそうな感じの子だろ」
なんてこと全君。それは一体どこのドライブイン⁉︎
必死に全君達の会話に耳を傾けるあたし。滑稽でしかない。
「……本当にあんたって全先輩に盲目ね」
ため息がいくつか聞こえる。嫌味ったらしい声も聞こえる。だって好きなんだもん。
「トイレ行くふりして喋り掛けて来る!」
そう言って立ち上がり、隣に座ってた紘ちゃんのテキーラを横取りして飲み干す。