ベッドに横になった時は確かに私一人だった。
この人どこから生えてきたんだ?!

動揺しっぱなしの私をよそに、先生はふにゃふにゃと目を細める。

「なあ、上嶋」
「はいっ?」
「これ気持ちいい」

これというのが何を指すのか、何となく、伝わった。
先生の頭を触ったままの右手。

へぇ、気持ちいいんだ。

無意識にまた撫でてから、慌てて手を引き剥がす。
いやいや何してるんだ私。猫でも犬でもなく教師だぞ。
こんな柔らかい髪してるのがいけない羨ましいレベルですシャンプー何使ってるんですか。

先生は不服そうな顔をしてから、大きくあくびをした。
それが合図になったみたいに、私たちはベッドの上に起き上がる。

先生が自分の腕時計を確認して言う。
「六時だ」