「早く透も食べなさいよ」
「そうだよ、透っ」
「はいはい、分かりましたー」
透はそう面倒臭そうに言うと、チョコクッキーをぱくりと齧った。
そんな透を見て、少し微笑む。
透って、お母さんといる時は子供みたいだよね。
可愛い……♪
「……それにしても、女嫌いの透が叶恋ちゃんなんていう可愛い女の子連れてくるなんてね。さっき二人が仲良さそうに話してるの見て、ビックリしちゃったわよ」
「ははっ」
「ねえ、どうやって知り合ったの?」
友達って言ったのに、透のお母さんはそんなことを前のめりになりながらそう聞いてきた。
「うーん、あたしが池の前で泣いてたら透がたまたま居て、あたしが悩み相談して、それから仲良くなった……みたいな」
それが〝恋の相談〟なんて、とてもじゃないけど言えなくて、あたしは〝悩み〟という言葉に留めた。
「へぇ……なんだ、透も案外男なのね」
「どういう意味だよ」
「そのままの意味よ。やっぱり女の子でも仲良くなれるんだねってこと」
「叶恋は、女とかそういうのじゃなくて……気が合うっていうか」
透は少し照れ臭そうにあたしをチラ見する。
その少し赤い顔の透を見て、あたしもほんの少し恥ずかしくなった。