なんて、独りで緊張していると、
「この前の子よね……透と仲良かったの?」
透のお母さんから、意味の分からない言葉を聞いた。
この前って……?
え、何のこと?
あたし、透のお母さんに会ったことあったっけ……?
「ちょ、母さん!それは……っ」
驚き固まるあたしを見て、透は必死にお母さんを止めようとする。
しかし、透のお母さんには通じていないようで。
「あらやだ、透ー♡こんな可愛い彼女がいるなら、もっと早くに紹介してよね」
「え、ちがっ」
「いつ仲良くなったの?もしかして、あたしが池の前で泣いてる子がい……」
「母さん!!」
透はついに、大声を出した。
瞬間、お母さんは驚いたようで会話を止めた。
だけど、あたしの耳にはもう、ちゃっかりその言葉が入ってきていた。
『池の前で泣いてる子』
それ絶対あたしのことだ。
透のお母さんがどうしてあたしが池の前で泣いてることを知っているのかは分からないけど、透とあたしだけの秘密ではなかったようだ。
「…………。」
あたしはつい、俯いてしまう。
透はそんなあたしを見ると、焦ったように、
「あ、いや、別に俺が言ったわけじゃなくて……」
ああ、心配してるんだろうな。
あたしが、傷つかないように。