「じゃ、俺は裏門に行くんで」


「はーい。じゃあ、あとで」


「おー」




 校門の、少し前。

 センセイとお別れした。



 うちの学校の先生達は、裏門から入るのが普通。


 裏門は、生徒立ち入り禁止になっている。

 教師だけの場所なのだ。





 まだ早いから、誰も来ていない。


 部活で朝練の生徒たちはグラウンドの方の小さな門から入ってくるため、会わない。



 でも、一応周りを確認。





「誰もいない……」


 ほっと胸を撫で下ろすと、あたしはすぐに学校に背を向けて走り出した。





 だって、だって、だって。



 堪えきれないんだもん、涙が。