「う、うん……」


 こんなに元気のないコウタを見ると、吐き気がしてくる。

 それくらい、こいつには笑顔が似合うってことだ。




 俺らは1限目をサボるつもり満々で屋上へと向かった。










「……で?どうしたんだよ、お前らしくねぇ」


 屋上のドアを開けて外の空気を感じた後、俺は振り返ってコウタに問うた。


「おう……あのさ」


 コウタは話し出そうとする。

 だから、誰もいないことを確認した俺は、コウタが屋上に入ってからドアをゆっくりと閉めた。




 話しづらそうなコウタを尻目に、俺は屋上の冷たいアスファルトに寝転がった。


 俺には似合わない雲一つない青空が目に入って、思わず全てをシャットアウトしたくなる。

 ふと、叶恋を思い出してしまった。


 あいつ、今頃泣きそうになりながら笑ってるんだろうな……。

 まだ全然あいつのことを知らないけど、そういう奴だってことは分かる。


 久しぶりに誰かのことを気にしたな。

 ……母さん以外の人で。



 ボヤーッとそんなことを考えていたから、コウタの話を一切聞いていなかった。


 だから、コウタが話していたことに気付いたのは、

「なーあ!聞いてんのかよ!!」

 というコウタの声だった。