それが、嬉しくて仕方ない。



 出会ったばかりだからか、二人ともどこかぎこちない。

 そういうの、あたしは苦手なはずなんだけど。


 なんでだろう。

 今は、安心してる。

 全然嫌じゃない。


 これが、透の持ってる魅力なのかも。



 透は、自分が名前に似合わないって言ってたけど、そんなことない。

 すごく、透明な気がする。


 でも、だからこそ、どこか遠い人に感じてしまう。



 けれど、あたしと透は同じ世界で生きてるんだよね。

 あたしの苦しみを知ってくれているのは、透だけだから。




 同じ空の下で、隣に居るのに、遠い存在のセンセイとは違って。

 同じ空の下で、隣に居ても遠く感じるのに、近い存在の透。


 あたしのことを分かってくれる、たった1人の人。




「さ、いこっか」


 あたしは立ち上がった。

 透も立ち上がる。



「ああ……ってかさ、お前、なんで目が腫れないの?」


 うーんと伸びをするあたしに、透は不思議そうに聞いてきた。



 あたしにも、分からない。

 でも、多分。


「最初は腫れてたよ?けど、慣れたのかな?今はないんだよねー」


 あたしはそう言って、笑った。


 悲しいけど、慣れなんだろう。