分からない。


 よろしく、なんて言ったって、先のことは分からない。



 だって俺らは、今を生きることだけで精一杯だから。

 それだけしかできないから。



「キーンコーンカーンコーン」


 俺の家は学校が近いから、学校のチャイムの音が聞こえる。


 もう1限目が始まるのかな?



「……あたし、サボろうかな」


「泉田に知られてるだろ?」


「…でも、いいの。サボってセンセイを困らせてやる。……あたしのこと、頭の中に入れたいから」



 冗談のような、本気の言葉。想い。




「……じゃあ、俺も」



 俺は、叶恋の腕を掴んだ。


「えっ?」


「どっか行こうぜ?ここにいてたら、母さんに見つかるんで」


「……あ、そか。うん、行こう!」



 俺は叶恋を見て笑うと、叶恋の手を握って走り出した。


 叶恋は笑ってる。



 なにが楽しいんだろうか?