「……今を、変える気はない。変えられない」


 こいつがそう言って、一粒の涙を流した。



 変えたくても、変えることが出来ない。


 嘘をつくことでしか、生きられない。




「弱いなぁ、俺ら」


「あたしたち、もっと子供だったら良かったのに」


「なあ」



 子供だったら、簡単に変えられたのか?

 簡単に、手を伸ばすことができたのか?



 でも、何故か人は、子供の時にはこんな想いをすることが出来ないんだ。






 もっと、もっと、子供だったら……。


 俺ら、こんな想いをせずに済んだのか?






「……俺ら、似てるな」


「うん、そっくりだ」



 もしも、神様がいるのなら。


 この恋を叶えろなんて言わないから。

 大切な人の幸せを壊す気なんてないからさ。


 この恋を、終わらせてくれ。