「恋って、なんなんだろう」


「こんなに辛い思いしてるのに、好きでいちゃうなんて……」



 二人で、壁に凭れかかった。


 お互いの恋で思うことを話してるのに、共感できる部分が多い。


 こいつも、そう思ってるのかな?




 俺は、こいつに聞く。


「お前さ、誰かにこのこと言ったことある?」


「ないなぁ」



 こいつは、そう呟いた。



「……俺も」



 そりゃ、言えないけど。


 当たり前なんだけど、同じだってことに俺はまた、安心した。


 だって、言えないから辛いことってあるだろう?

 それを分かってくれるのは、実際に経験した人だけ。



 好き、ていう言葉は簡単に言葉に出来ないけどさ、言いたいときにいつでも言えるじゃん?


 けど、俺らの恋は、それが出来ない。



 叶うことがないと分かってる。

 けれど、恋を止めることが出来ない。


 俺らはいつも、無駄な苦しみに悩まされて生きている。


 意味のない、不毛な恋を終わらせられたら……。