けれど、俺が小5の時、それは終わった。



 近所の人が、俺に出来ている複数のあざを見て、警察に電話をしたらしい。



 俺は学校から家に帰った時、驚いた。


 家の中には、警察官が何人かいて、だけど父親はいなかったから。




 そう、この時俺は、父親が捕まったことを知らなかったから。


 俺が学校に行っている間に父親は捕まったみたいだった。





 俺は警察に連れて行かれた。


 しばらくロビーみたいなところで待っていると、父親が警察官らと出てきた。



『お父さんっ!』



 俺は父親に駆け寄った。


 けれど、父親は……俺から顔を背けて、そのままどこかに連れられて行った。



 父親に無視されたことなんてなかったから、俺は驚いて、そのままずっと父親がいていた場所を見ていた。



 全てを理解した時の俺は、酷く冷静だった。




『俺、愛されてなかったんだ……』


 虐待されていたってことを、この時初めて知った。

 そして、父親は俺を愛してなかったことも、理解した。



 涙なんて流れなかった。