俺が育ったのは、ぼろいアパートだった。



 家に母親はいなくて、いるのは酒に酔った父親だけだった。





『おい!酒買ってこい!!』


 俺の父親は、アル中だったんだ。


 俺にそう、何度も叫んでいた。



 今思えば、父親は働いていなかったのに、なんで生活できていたのか不思議だ。




『お父さん……』


 俺は父親が心配で、いつも父親の背中を擦っていた。


 最初は笑顔になった父親だったけど、いつしかそれが、ムカつきに変わって行ったようだ。




『やめろ!触んな!』


 父親は、俺の手を振り払った。


 それでも俺は、背中を擦ろうとした。


 けど、父親は俺を見て、


『お前ムカつくんだよ!消えろっ!』


 と言いながら、俺を殴った。




 それから、父親は俺を虐待するようになったんだ。