「……速水くんって、案外優しいんだね」



 速水くんの腕の中でふふっと笑った。



「……優しくなんかねーよ」


 そう言って、速水くんはあたしを抱きしめる腕に力を込めた。


 きっと、照れてるんだろうな。




 そう、微笑ましく思った。



「……俺は、最低だよ。弱いんだよ」


「……え?」



 速水くんはさっきとは全然違くて、抱きしめる腕の力を緩め、悲しそうに呟いた。


 あたしは速水くんの顔が見たくて、その腕から離れた。



 速水くんは、家の方を見つめていた。



「……お前が教えてくれたから、教えるよ。俺の……秘密」


 速水くんは、視線を家に送ったまま、あたしに話しかけた。




「……今から話すことは、俺が女を嫌う理由だ。……俺もさ、」



 速水くんがなにを話そうとしてるのか、あまりに突然な話過ぎて、あたしは中々理解できなかった。


 そして、話の内容を軽く話されても、分からないまま。


 なんで、あたしにそんな話をしようとしてるの?