あたしは驚きすぎて、言葉も出ない。




 そんな…見られてたなんて。

 誤解、されちゃってないかな?


 もしかしたら、速水くん以外にも見られてたりして……。



 じゃあ、もう一緒に学校には行けないなぁ。


 電車変えないと。



 ……そんなの、嫌だ。



 こういうタイミングが来たら良いなって思ってた。

 そうしたら、諦めて電車変えて、早起きもしなくていいのに。


 けど、あたしってバカだな。


 いいタイミングが来てるのに、やっぱりセンセイといたいなんて。


 あの時間のせいで、苦しめられて。

 辛いから、ここで泣いてたのに。


 なのに、それでもあの時間が恋しいんだ。



 何度、何度、こうやってセンセイへの恋心を痛感しないといけないんだろうか。


 何回痛感したら、気が済むの?

 どれくらい傷つけば、忘れられるの?

 止められたら、前へ進めるのに。





「あの……さ。俺……」




 速水くんが申し訳なさそうに言う。


「なんとなく、分かったんだ。お前が、泣いてる理由」