そして、それを不思議そうに速水くんが見るもんだから、あたしはもっと笑ってしまった。





「なに笑ってんだよ」


「え、いやー……速水くんってさ、すごい面白いね。ふふっ」




 いつぶりだろうか。


 毎日友達とバカみたいに笑い合っているけど、こんなにも笑ったことはほとんどなかった。



 毎日毎日、泣いて泣いて。

 作り笑いや愛想笑いばかり。たまに自然に笑っても、爆笑なんてことはここ最近なかった。





「はあ?意味分かんねぇ」


 速水くんが少しキレ気味で言う。




「ふふっ、だって速水くん鈍感なんだもん。知らないの?自分が学校で一番の有名人だってこと」


 そういうのに疎いあたしが知ってるくらいなのに。




「は?んなわけねぇじゃん」


「いや、そうだよ。少なくとも、女子は全員知ってるよ」


「へー。どうでもいい」




 だろうね。


 女子が嫌いだって聞いてるし。



 なら、あたしも……。