『え……』



 俺が見たあいつは、泉田が去って行った方向をじっと見つめたまま涙を流していた。



『……お、わりが…見つからないよぉ……』


 あいつは顔を手で覆って学校から背を向けて勢いよく走って行った。





『な、泣いてたよな?』


 俺はゆっくりと前へ出た。

 でも、何が何だか分からないまま。



『えーっと……?』



 あいつは、泉田と学校に来てここで別れた。

 そして、泣いた。
 んで、走ってどこかに行った。


 ……あいつはどこに行ったんだろうか?



 うーん………あ!




 俺が泣いているあいつを見ていた場所は、池の前。

 確か、さっきあいつが走っていた方向には池があるんだよな。



 多分……

 あいつは池に行ったんだ。



 ……ん?
 でも、なんでだ?


 今の流れで、泣く要素は1つもないけど……