悩める春は簡単に終わりを迎え、気付けばもう夏が一歩先で待っている。


 新しい恋の始まりだ。





「……ああ、そうだな」

 そう言った俺も、立ち上がってほうきを手にする。



「さっ、掃除するかぁ!」

 なんて言って、伸びを一つした。



 なあ、叶恋。

 俺も、やっぱり運命だと思う。


 俺が、母さんを好きになったのも。

 お前が、泉田を好きになったのも。

 そして、俺がお前と出会ったのも。


 だから、神様にありがとうって言いたいな。


 まあ、一番言いたい人はいつだって決まってるけど。

 一番会いたい人も。

 一番笑顔が見たいって思う人も。

 一番幸せにしたいって、なって欲しいって思っている人も。

 一番今、抱きしめたい人も。


 いつだって、叶恋、お前しかいない。

 だから、ずっと傍に居ろよ。


 俺の、世界一好きな人。

 世界一大切な人。







「なあ、叶恋」