「じゃあまた明日な、透っ」


「ああ、また明日」


 二カッと笑いながら手を振るコウタに、俺も軽く手を振った。

 コウタはバイトをしているため、放課後すぐ教室から出て行くんだ。


 俺も帰り支度を済ませると、さっさと鞄を持って教室を出て行った。





「はぁ………」


 下駄箱で靴を履きながら、ため息を吐いた。



 叶恋と会わなくなって、もう1週間が経った。


 正直、それで変わったことは特にない。


 毎日コウタと適当に過ごして。

 家に帰ったら池の掃除。

 そして、両親に見せつけられて胸を痛める。


 本当、無意味な日々。



 ……でも。

 何故だか、叶恋と過ごしたあの日々は、こんな毎日を無意味だと思わなかった気がする。


 何も、変わっていないのに。


 朝、叶恋を慰めていただけ。

 放課後、叶恋と池の掃除をしていただけ。

 もっと言えば、叶恋と沢山話したってだけだ。


 ……けど、けど。




 俺が叶恋を傷つけることばかり言ったせいで、こうなってしまった。

 だから今更謝ったって……って思う。


 でも、今やっと気付けたんだ。