「え………」


 思考が一瞬、停止した。


 でも、センセイはそんなの露知らず。

「速水だよ。速水透。お前ら、付き合ってるんだろ?」


「え、ちょ、待って。センセイ、何言ってるの……?」


 頭の中が、混乱でぐるぐる渦巻いていく。


 まず、センセイがなにを言ったのかよく分からない。

 どうして透の名前を出したの?

 てか、付き合ってるって?



「何言ってるって?」


「付き合ってる?あたしと、透が?」


「あ、透って呼び捨てなんだぁー」


 センセイはそうニヤつきながら、からかう。

 でもあたしには、そんなことに付き合う余裕がない。



「いや、だから……っ」


「いやー、そんな照れなくても」


「照れてない!」


「ははは、そうかそうか」


 全力で否定するけど、センセイは誤解したまま。

 もう決めつけちゃってるよ。


 でも、どうしてあたし達が付き合ってるって思ったんだろう?

 それに、好きな人にそう言われると、結構傷つくんだけどな……。


「な、なんでそう思ったんですか?」

 誤解を解くのは一旦止めて、そう訊ねた。